本会が発足した当時の2000年代といえば、HACCPという考え方とリス クアセスメントという考え方が我が国の食品衛生分野で広まりつつあり、科学的根拠を基とした食品衛生・食品の安全性の議論が高まりつつあった時代です。この後HACCPという考え方が長い年月をかけて浸透
し、2021年6月にはHACCPが制度化されることとなりました。
今、食品衛生は大きな節目を迎えたところです。最終製品の抜き取り検査の考え方が主流であったところに、製造工程における危害予測と重要管理点の監視という衛生管理法の考え方を導入することが求められることとなり、衛生検査をはじめ食品の安全性確保のやり方をさらにもう一つ踏み込んで事業者各々が考えて改善までを含めて実施していかねばならない時代になったと認識しています。
このような背景の中、製造現場での衛生環境を向上させるためには、あらゆる検査技術を駆使して、適切な改善を PDCAサイクルを回しながら継続的に行っていく必要があります。さらには、改善のための戦略を考えつつ、効果的な検査
結果の活用を図らねばなりません。簡易迅速検査技術はそのためのツールとして有効に活用できるものであり、その普及とともに、様々な製造現場における衛生環境管理に実際に役立てられるよう、本会での活動を通して情報提供に努めて参ります。
多くの方々に本会の発展におきまして、多々ご協力ご意見いただけますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。
迅速検査研究会 会長 川﨑 晋